■8月1日
嗚呼受け難き人界の生をうけ値い難き如来の聖教に値い奉れり一眼の亀の浮木の穴にあへるがごとし、今度若し生死のきずなをきらず三界の籠樊を出でざらん事かなしかるべし・かなしかるべし
聖愚問答抄(475ページ)
■8月2日
法華経は種の如く仏はうへての如く衆生は田の如くなり、若し此等の義をたがへさせ給はば日蓮も後生は助け申すまじく候
曾谷殿御返事(1056ページ)
■8月3日
日蓮をいやしみて南無妙法蓮華経と唱えさせ給はぬは小児が乳をうたがふて・なめず病人が医師を疑いて薬を服せざるが如し
曾谷入道殿御返事(1058ページ)
■8月4日
弥信心をはげみ給うべし、仏法の道理を人に語らむ者をば男女僧尼必ずにくむべし、よしにくまばにくめ法華経・釈迦仏・天台・妙楽・伝教・章安等の金言に身をまかすべし、如説修行の人とは是れなり
阿仏房尼御前御返事(1308ページ)
■8月5日
大地の動ずる事は人の六根の動くによる、人の六根の動きの大小によつて大地の六種も高下あり
瑞相御書(1141ページ)
■8月6日
総じて日蓮が弟子檀那等・自他彼此の心なく水魚の思を成して異体同心にして南無妙法蓮華経と唱え奉る処を生死一大事の血脈とは云うなり
生死一大事血脈抄(1337ページ)
■8月7日
願くは我が弟子等は師子王の子となりて群狐に笑わるる事なかれ、過去遠遠劫より已来日蓮がごとく身命をすてて強敵の科を顕せ・師子は値いがたかるべし
閻浮提中御書(1589ページ)
■8月8日
法華経の一字は大地の如し万物を出生す、一字は大海の如し衆流を納む・一字は日月の如し四天下を照す、此の一字変じて仏となる、稲変じて苗となる・苗変じて草となる・草変じて米となる・米変じて人となる・人変じて仏となる
王日女殿御返事(1263ページ)
■8月9日
只得難きは人身値い難きは正法なり汝早く邪を翻えし正に付き凡を転じて聖を証せんと思はば念仏・真言・禅・律を捨てて此の一乗妙典を受持すべし
聖愚問答抄(491ページ)
■8月10日
我が弟子仰いで之を見よ此れ偏に日蓮が貴尊なるに非ず法華経の御力の殊勝なるに依るなり、身を挙ぐれば慢ずと想い身を下せば経を蔑る松高ければ藤長く源深ければ流れ遠し、幸なるかな楽しいかな穢土に於て喜楽を受くるは但日蓮一人なる而已
聖人知三世事(974ページ)
■8月11日
有情の第一の財は命にすぎず此れを奪う者は必ず三途に堕つ――法華経の寿量品は釈迦如来の不殺生戒の功徳に当つて候品ぞかし
主君耳入此法門免与同罪事(1132ページ)
■8月12日
ねふかければはかれず・いづみに玉あれば水たえずと申すやうに・御信心のねのふかく・いさぎよき玉の心のうちに・わたらせ給うか
窪尼御前御返事(1479ページ)
■8月13日
各各我が弟子たらん者は深く此の由を存ぜよ設い身命に及ぶとも退転すること莫れ
法華行者逢難事(965ページ)
■8月14日
父母の成仏即ち子の成仏なり、子の成仏・即ち父母の成仏なり
御講聞書(813ページ)
■8月15日
自身仏にならずしては父母をだにもすくいがたし・いわうや他人をや――目連が色身は・父母の遺体なり目連が色身仏になりしかば父母の身も又仏になりぬ
盂蘭盆御書(1429ページ)
旧盂蘭盆
■8月16日
父母の御恩は今初めて事あらたに申すべきには候はねども・母の御恩の事殊に心肝に染みて貴くをぼへ候
刑部左衛門尉女房御返事(1398ページ)
■8月17日
いかに日蓮いのり申すとも不信ならばぬれたるほくちに・火をうちかくるが・ごとくなるべし、はげみをなして強盛に信力をいだし給うべし
四条金吾殿御返事(1192ページ)
■8月18日
正像二千年の大王よりも後世ををもはん人人は末法の今の民にてこそあるべけれ此を信ぜざらんや、彼の天台の座主よりも南無妙法蓮華経と唱うる癩人とはなるべし
撰時抄(260ページ)
■8月19日
順次生に必ず地獄に堕つべき者は重罪を造るとも現罰なし一闡提人これなり
開目抄(231ページ)
■8月20日
実相と云うは妙法蓮華経の異名なり、諸法は妙法蓮華経と云う事なり、地獄は地獄のすがたを見せたるが実の相なり、餓鬼と変ぜば地獄の実のすがたには非ず、仏は仏のすがた凡夫は凡夫のすがた、万法の当体のすがたが妙法蓮華経の当体なり
諸法実相抄(1359ページ)
■8月21日
月月・日日につより給へ・すこしもたゆむ心あらば魔たよりをうべし
聖人御難事(1190ページ)
■8月22日
聖人と申すは委細に三世を知るを聖人と云う――日蓮は一閻浮提第一の聖人なり
聖人知三世事(974ページ)
■8月23日
人の悦び多多なれば天に吉瑞をあらはし地に帝釈の動あり、人の悪心盛なれば天に凶変地に凶夭出来す、瞋恚の大小に随いて天変の大小あり地夭も又かくのごとし、今日本国・上一人より下万民にいたるまで大悪心の衆生充満せり、此の悪心の根本は日蓮によりて起れるところなり
瑞相御書(1142ページ)
■8月24日
謗法と申すは違背の義なり随喜と申すは随順の義なり
唱法華題目抄(4ページ)
■8月25日
南無妙法蓮華経とばかり唱へて仏になるべき事尤も大切なり、信心の厚薄によるべきなり仏法の根本は信を以て源とす
日女御前御返事(1244ページ)
■8月26日
日蓮がたましひをすみにそめながして・かきて候ぞ信じさせ給へ・仏の御意は法華経なり日蓮が・たましひは南無妙法蓮華経に・すぎたるはなし
経王殿御返事(1124ページ)
■8月27日
仏は四十余年・天台大師は三十余年・伝教大師は二十余年に出世の本懐を遂げ給う、其中の大難申す計りなし先先に申すがごとし、余は二十七年なり其の間の大難は各各かつしろしめせり
聖人御難事(1189ページ)
松葉ケ谷法難 文応元年
■8月28日
天台の学者・慈覚よりこのかた玄・文・止の三大部の文をとかく・れうけんし義理をかまうとも・去年のこよみ昨日の食のごとし・けうの用にならず
上野殿御返事(1556ページ)
■8月29日
仏道に入つて理非を勘へ見るに仏法の邪正は必ず得通自在にはよらず是を以て仏は依法不依人と定め給へり
聖愚問答抄(485ページ)
■8月30日
所詮真言・禅宗等の謗法の諸人等を召し合せ是非を決せしめば日本国一同に日蓮が弟子檀那と為り、我が弟子等の出家は主上・上皇の師と為らん在家は左右の臣下に列ならん、将又一閻浮提皆此の法門を仰がん
諸人御返事(1284ページ)
■8月31日
一とは妙なり心とは法なり欲とは蓮なり見とは華なり仏とは経なり、此の五字を弘通せんには不自惜身命此なり
義浄房御書(892ページ)